瀬戸内海地域自治体の活動状況/広島県編
平成17年8月1日現在
a,福山地域――内海
内海町では、平成10年より海苔養殖業者の兼田功氏が海苔加工で使う水にemを処理することで、年間10万㌧のem処理水が田島沖に流れている。田島沖の海域で海の生態系に変化が生じ、甘エビ、イカナゴ、片口鰯等の水性生物の漁獲高が、平成10年に2200㌧/年であったのが平成15年には2倍の4500㌧/年に上昇している。また、平成15年には田島の「クレセントビーチ」の人工の浜にアサリが発生し出し、平成16年には1000人/日、潮干狩り客が来るまでになっており、今年もそれが続いている。又、内浦湾にも、今年からアサリが復活しだした。瀬戸内海地域では、自然発生によるアサリがいなくなっているのが実態なので、この内海町では全く逆の信じられない現象が起こっている。又、田島の箱崎港は透明度が4.5㍍に達し、瀬戸内海地域で、これほど透明度が良くなっている港は他にないといって良い。更に、昔の綺麗な瀬戸内海には至る所で生息していた「ホンダワラ」が、平成15年6月から田島の浜で発生しだした。田島周辺に海の蘇生現象が進行していることが伺われる。いずれにしても、田島周辺の今後の変化には、いろいろな点で注目する価値がある。
b,尾道地域――山波
尾道市の山波の州は「アサリの潮干狩り」で有名なところである。平成10年には、年間1500人に落ち込んでいたが、田島の海苔養殖業者の兼田功氏が海苔加工で使う大量のem処理した排水を流しはじめてから、潮の流れに沿って山波の州に届く事で、州に溜まっていたヘドロを分解し生物相を復活させた。その結果、「アサリ」が大量に発生した。平成14年には、年間2万人の潮干狩り客が訪れる現象が起こった。平成15年は、漁協組合が漁獲の規制を掛けた為、若干減少したものの、それでも1万8000人に及んだ。平成16年には山波の州には3万人の潮干狩り客が来るようになり、今年は更に3万人を越える勢いである。瀬戸内海全域に於いて、どこもかしこもアサリの減少の話しか聞かないのに、田島、山波地域においては,増加現象が起こっている。
c,向島地域
向島町は、平成15年より、安芸津町に習い、官民一体の環境浄化運動が始まった。emに約80万円の予算を組み、役場がemの培養器を設置し、無料で住民に頒布し、各家庭で米のとぎ汁発酵液を台所、お風呂場、トイレ等から流して来た。尾道市への合併に伴い、活動が一時、休息気味であったが、今年から、「向島町環境浄化推進協議会」が発足し、より一体化した活動に発展し、本格的に官民一体の活動に進展していくようになる。又、「高見小学校」は、平成14年より、5年生が総合学習にemを取り入れ、生ごみ堆肥による有機野菜づくり、米の研ぎ汁発酵液によるトイレの悪臭対策と調整池の水質浄化、em団子による干潟の改善を通してのアサリの復活に取り組み、又、地域住民へのem講習会を実施することで、生きた教育活動を継続して取り組んでいる。
d、瀬戸田地域
瀬戸田町では、平成15年より役場に培養器を3台設置し、培養したem活性液を島内の10カ所に設置したタンクに移し、そこから住民に無料で頒布している。住民は各家庭で米のとぎ汁発酵液を台所、お風呂場、トイレ等から流している。又、柑橘栽培が盛んであり、農業用水が至るところにある。富栄養化の為に夏場に「アオコ」が発生するが、池にem団子3000個投入することで、「アオコ」の発生が抑制されている。又、平成16年から、「シトラスパーク」を中心に、有機柑橘栽培を目的とした行政主導による研修会が年5回開催され、有機柑橘ブランド化を推進することで、町の産業育成にも力を入れるよう取り組んでいる。
e,因島地域
因島市では、2000年度より文部科学省から「生涯学習分野の町づくり支援事業」の委嘱を受け「町づくり実行委員会」が結成された。事務局を中庄公民館に置き、emを活用しての水質浄化の活動が始まった。2001年にはem講習会を町内12会場で実施し389名参加した。em発酵液を町内5箇所に配り、延べ162回、24㌧を投入した。2002年からは、全市的取り組みに拡大。市の公衆衛生協議会が300㌧のem培養器を大浜公民館に設置。em活性液を300㍑/週製造し、これを各市内公衛協に配布。各区に於いては、em活性液を1㌧/週のペースで2次培養して各家庭に配布したり、担当者が定期的に河川に流している。その結果、潮溜め、水路のヘドロが消え、アサリの復活も出ている。また、環境教育の面では、2003年より因北小学校のプールにemを投入している。「蛍が飛び交いメダカの泳ぐ川をとりし、昔のように豊かな海を取り戻そう」を願いとして、環境浄化に取り組んだ。この因北小学校がモデルとなり、この2年間で、7小学校の内、6小学校がプールにemを投入し、清掃が楽になり喜ばれ、全小学校に環境学習の動きが活発化してきている。
f,三原地域――三原,本郷
沼田川の上流に位置する本郷町には、豆腐づくりの[椿き家]がある。そこから豆腐処理した排水が、年間5万㌧沼田川に流れ三原湾に注いでいる。平成12年より浄化槽にemを導入。150/日のem処理水が排水路のヘドロを消し、小川を浄化し、蛍が生息しだしている。その処理水が三原湾から山波の州にも流れ、アサリの復活にも影響を与えている。更に三原湾はタコの水揚げで有名であるが、平成14年頃より漁獲が上昇し、平成15年は更に上昇して、年間107㌧に及んだ。タコの漁獲が上がることは、タコの餌である小魚が増加している証であり、生態系が甦っていると思われる。また、三原湾西部では、海砂採取が原因で「アマモ」が全く生息しなくなっていたが、平成15年からアマモの生息が確認されはじめた。これも、「椿き家」から流れる年間5万㌧の処理水の影響が考えられる。平成16年より、200㌧/日の浄化槽を追加建設した。その結果、合わせて 12万㌧/年 のEM処理した豆腐の排水が三原湾に注いでいる。その結果、沼田川の河口域には、全くヘドロがなくなり、河川には砂地が出て、とても綺麗になっている。今後一層、海の蘇生化が促進していくものと期待している。
g,安芸津地域
安芸津町は、平成12年より官民一体の「環境衛生対策プロジェクトチーム」を設置し、日本で初めてのemによる環境浄化の条例を制定した。役場にemの培養器を設置し、住民に無料頒布し、各家庭で米のとぎ汁発酵液を台所、お風呂場、トイレ等から流している。週に6㌧ペース、年間300㌧を培養してemを排水路に流すことで、3年足らずで河川のヘドロが消え、三津湾の至る所で「アマモ」の生息が確認されている。
又、安芸津町での牡蠣筏のem団子投入による、1年越しの海底調査の結果、ヘドロの減少、硫化物(硫化水素など)の減少、溶存酸素の増加、底生生物の増加、赤潮発生の原因となるリンの減少などの貧酸素水塊を解消し、海を浄化する可能性が分かってきた。
h,安浦地域
安浦町では、平成13年より年間130トンに及ぶEM活性液を野呂川の上流から投入し、既に500㌧以上が投入されている。その結果、河口域では、ヘドロの上に生息していたアオサが消え、ヘドロがなくなって一面に「スジアオノリ」がビッシリ繁殖している。又、三津口湾は、昔から「アマモ」の生息で知られていたが、平成13年ごろより、湾の汚染が広がり、除々に「アマモ」の減少が進み、平成14年には最盛期の1/2にまで減少していた。ところが平成15年ごろより沿岸地域のヘドロの減少に伴い、「アマモ」が復活し出した。そして、平成17年には、最盛期を越える規模に戻り、過ってない程アマモが密集していることが確認され、三津口湾に広がた「アマモ」の面積は、約3平方㎞に達している可能性がある。これは、瀬戸内海では、湾の生息密度で言えば、最大級の広さになって、学術的に大変注目されている。更に、河口域に近い場所での牡蠣の養殖に良い結果がでている。種付けした牡蠣の生育がすこぶる良く、ホタテ貝にビッシリ牡蠣の稚貝が付着している。
※ 学術的な海底調査が必要
i,蒲刈地域
蒲刈町は、平成15年7月からヘドロ化した干潟の浄化を目的に、em団子2000個、em活性液 月2トン投入を実施。この結果、9月頃にはヘドロ化した干潟にビッシリ繁殖した「アオサ」が枯れだしている。ヘドロの分解と減少により、「アオサ」繁殖の抑制効果が期待できる。広島県で初のiso14001を取得。合成洗剤に変わる、シャボン玉emせっけんをモニターで使用するなど、古代の藻塩づくり、アビ鳥漁法の復活を目指し、観光資源を光らせる海の浄化活動を官民一体で実施している。
j,広島地域
太田川(京橋川)のヘドロの減少、シジミの漁獲増加を願い、平成15年9月よりem団子8000個、em活性液 2週間で2㌧ペース、60㌧投入している。常磐橋周辺を中心に投入し、ヘドロ減少の実測を行っている。現時点では、既に20㌢〜30㌢の減少が確認されている。又、上流、下流に於いても、5㌢〜10㌢減少している。常盤橋下に集中的にemを投入しているが、結果的に、潮の干満によって、底質に住み着いたemが川の上流・下流にも広がっている。分解されたヘドロが広島湾まで流れ、それが、満ち潮で太田川全域に登り、京橋川のみに限らず、猿侯川、元安川、本川、天満川、太田川放水路にも影響している。特に、京橋川の上流から、本川の上流に亘っては、顕著にヘドロが消え、砂地が出ている。太田川全域で数万トンのヘドロが減少している可能性があり、浚渫費に換算すると約20億円に相当すると考えられる。シジミの漁獲が、6年前の最悪時に比べると5倍の50㎏/日に増えている。平成16年より「水の都」構想の実現のため、活動の規模を拡大し、「広島太田川じゃぶじゃぶ大作戦」のプロジェクトが結成され、ホームページを立ち上げた。市民に情報発信をし、市女性連合会、ライオンズ、市民環境団体などに働きかけ、本格的に住民運動に展開していく予定。
k,大野地域
大野町は平成15年6月より、上の浜遊水池の悪臭対策、1,5㍍溜まったヘドロの減少を目的にemを予算化し、公衆衛生協議会を主体にため池周辺の住民240世帯を中心にem活性液を有料頒布し、各家庭で米のとぎ汁発酵液を台所、お風呂場、トイレ等から流している。週に2㌧ペース培養してemを排水路に流すことで、悪臭がなくなり、ヘドロが5㌢程度減少している。今年7月より、更に環境浄化運動の地域を拡大し、4地区(1区、2区、4区、6区)7000世帯がモデル地区となって運動を展開している。200㍑〜100㍑/週 各地域の上流(排水路)の4箇所からem活性液を投入。更に、各地域にEM団子6300個を投入した。又、各家庭にem活性液を無料配布し、家庭からも流している。12月に入り、大野町11地区全域においても浄化活動を展開するようになってきている。
l、湯来地域
廿日市市住民の飲み水を引く八幡川の上流に位置する湯来町では、魚切ダムの汚染による「アオコ」対策の為、杉並台団地の住民860世帯の内、100世帯が合成洗剤に変わるシャボン玉emせっけんをモニターで実施した。
m、神石地域
神石町では、平成14年より、「神石em普及協会」が設立。毎年、町より200万円〜240万円程度の助成金を得て、国定公園の「神龍湖」の水質浄化を願い、1㌧タンク6台設置し、湖の上流などからem活性液を6㌧/週に投入。更に、em団子を、平成15年に1万個、平成16年には8000個投入。その結果、神龍湖の「アオコ」の発生がなくなり、湖の底質が改善され、水質の汚れから湖の側面に黒く付着していたヌルメが白く綺麗になっている。平成17年には、湖の透明度が上がり、浅瀬では泳ぐ魚が見えるまでになっている。神龍湖の水は、岡山県の高梁川に流れ瀬戸内海に注ぐ。山間地域から水質浄化することで、結果的に河川の浄化、海の浄化につながっている。又、平成17年より資源循環を目的に畜産糞尿をemで堆肥化する工場が稼動しているが、emを活用することで工場内の悪臭もなく、良質な堆肥が出来ている。又、em処理した糞尿の液も全く悪臭がなく、これも有効な液肥として活用が見込める。
農業振興を推進するに於いて、畜産堆肥を有効に循環させ、水稲栽培にもemを普及させる事で、農薬汚染をなくし、神龍湖の水質改善を図ると同時に、安心・安全な高品質な農作物の生産を通し、観光資源を守り、有機の里づくりを目指した町づくりに取り組んでいる。
n、世羅地域
世羅町では、平成15年1月に官民一体による「甲山町環境衛生対策協議会」が発足。「産業部会」「公衆衛生部会」「教育部会」を置き、各部署に行政担当者が事務局を担い、民の代表が会長となって、町づくりを推進している。町民への啓蒙として全公民館に於いてemの勉強会を重ねてきた。又、学校に於いても環境保全の立場に立って、プールにemを投入し、芦田川の水質浄化にも配慮している。又、行政から委託された第三セクター「いきいき村」では、200㍑のem培養器を設置して、有機栽培農家300件の会員に提供し、emを活用しての有機野菜を栽培している。この有機野菜を「いきいき村」に出荷。更に、都市部の広島市、尾道市のスーパー「サティー」にも毎日出荷し大変好評を博している。既に年間3億5千万円の売上があり、更に売上が拡大する見込みである。農業振興を願いとして、「いきいき村」が発足したが、有機野菜に対する消費者のニーズに叶い、生産は拡大傾向にあり、地方と都市を繋ぐ道ができている。年収500万円農家から年収800万円をめざしている。3町合併により会員が拡大傾向にあり、世羅町が【有機の里】として、環境保全と安心・安全な自然野菜を生産するモデルとしての役割を担うことになる。又、畜産では、養鶏17万羽を飼育している「ゆう食品」に於いて、平成15年より、悪臭対策、水質浄化を目的としてemを活用している。鶏舎にemを散布、鳥の餌(EMフィード)や、水を与えることで、鳥の糞の悪臭が改善され、更に卵の質が良くなって、「emもみじ卵」としてブランド化され広島福屋でも扱われている。更に、卵を洗浄した排水の悪臭、水質汚染を改善するため、em活性液を1㌧/週ペースで投入。その結果、溜池の悪臭が完全になくなり、水質も改善されている。この排水が芦田湖に注ぎ、結果において、「アオコ」発生を抑制することに繋がると考えられる。
岡山県―日生地域
岡山県東部に位置する日生漁協では、平成14年より広島県内海町を視察した、日生漁協の青年部が日生港の牡蠣加工によって流れた残さが汚染を引き起こし、ヘドロ化している海にemを活用して浄化しようという活動がスタートした。10㌧タンクを設置し、平成15年12迄にem活性液60㌧投入。その結果、牡蠣の生育が前年の3割アップになり、湾のプランクトンが4倍に上がっていることが分かった。
山口県―王司地域
山口県下関市王司漁協組合に於いて、2003年より、アサリ干潟養殖場にem団子2万個投入。更に今年は、ヘドロが大量に堆積している汽水域に1万8千個投入。その結果、従来まで年間1000万㌧の養殖用のアサリを投入し、7000㌧の水揚げしかなかったのが、em団子を投入してからは、生産量は、今年で8000㌧になり、10%アップになって、収益が7000万円増になった。場所によって、90%以上の歩留まりの箇所もある。
今後さらにem投入を継続することで、ヘドロの分解が一層進めば、それが逆にプランクトンの餌となり、その結果、アサリの餌が増え、且つ、emによって死んだアサリから発生する腐敗菌を抑制し、養殖場の環境が改善されていくことで生産性が向上していく。
また、アサリのみに留まらず、広大な干潟の沖には、平成16年からワタリガニが大量に発生し、イイダコもよく捕れるようになった。王司沖の海が甦ってきている。今後は、底生生物である、ナマコ、シャコ、トリ貝など、魚種漁獲の復活現象が期待される。
npo瀬戸内海環境会議
NPO広島em普及協会
文責 村瀬道幸